|
アーサー・ランサムの作品は、岩波書店から12巻の全集として刊行されています。しばらく、絶版になっていましたが、昨年、復刊されました。日本での第1刷が1967年11月、1999年6月で19刷を数える児童文学の傑作です。岩波書店の紹介のコメントには、「イギリスの自由な精神が生んだアーサー・ランサムの冒険物語。少年少女の探検への夢が、家族や隣人たちの温かい配慮にはげまされつつ、着々と実現されていくさまを描いた物語です。」となっています。
湖のほとりの農家に夏休みを過ごしに来た、ウオーカー兄妹が無人島で子どもたちだけでキャンプをしたり、ヨットを乗り回したりして田舎での生活を満喫します。そこには、開放された休暇のよろこびが充ち満ちています。
訳者の神宮輝夫さんの言葉を借りれば「このよろこびは、リクレーションというようなものではなく、人間がもっとも人間らしくなったときに感じる深いよろこびだとわたしは思います。つまり、ランサムはどんなに時代が変わっても、人間が人間であるかぎり、持ちつづけるよろこびをとらえたのだと思います。そのよろこびを、さらにこまかく分ければ、新鮮な興味、行動への意欲、自然の恵みの享受など、いろいろになるでしょう。」ということになります。
この全集は、最初に出版された「ツバメ号とアマゾン号」が1930年(昭和5年)で今から70年も前のことなのですが、今でも新しい読者をつかんでい
ます。子どものための読み物ですが、お父さん、お母さんが読んでもとても楽しいと思います。世界中のランサムのファンは、これらの物語の舞台になった場所を訪れることを「聖地巡礼」と呼んでいるほどなのです。これは、ランサムの物語に出てくる場所は、読者がその場所にいるように目に浮かんでくる上に、登場人物が身近な生きた人間のように感じられるからです。このように読んだ人を引き付けるのは、時代を超えた「冒険心」だと思います。これは、昨日、届いた興津小を卒業、大学1年生K子さんからのEメールです。
『ツバメ号とアマゾン号は、先生の紹介で私も読みました。あれはおもしろかったです。楽しくて楽しく一気に読んでしまったのを覚えています。いまでもあの本のことは覚えています。時間のあるときに少しずつのんびりとまた読みたいものです。』
保育園の子どもには読めませんが、大人が読んでとても楽しい本です。このシリーズは、今度こぐまちゃん文庫に入りました。小学校高学年から大人まで楽しめます。Webサイトにも「アーサー・ランサムクラブ」がありますので検索してみてください。
*この本は、青春時代をネパールの農業技術指導に尽くされ、昨年、急逝された北条量
省さん(今年、卒園の賢太くんのお父さん)のご家族からの寄贈によるものです。
アーサー・ランサム・クラブ
http://www.asahi-net.or.jp/~vn2s-sno/arc.html
|